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確固不抜の志

迷ったときに戻る本というのがあります。

リーダーの易経―時の変化の道理を学ぶ
竹村 亞希子
PHPエディターズグループ (2005/08)
売り上げランキング: 1436
おすすめ度の平均: 5.0
5 「時」と「兆し」を洞察し、幸せへと導くバイブル
5 誰にでもあてはめて読めます
5 易経を易しく説く

一昨年に出版された本ですが、今まで何度「ハッ」とさせられたことかわかりません。
なんとなく面白くない状況が続くとき、この本の「認められない幸福(36頁)」を読むとその状況を反って有難いものだと思うことができます。「陽」の力だけでは行き詰ってしまう、単純な「ポジティブ思考」がなぜ奏功しないのか、ではどうすればよいのかという疑問にヒントを与えてくれる、頼りになる202頁です。

この本を読んでも「それでも辛いんだ!」という方は、著者の亞さんのblogに書かれているこちらをどうぞ。四大難卦を読むとですね、「自分の今の状況なんてまだまだ」と思えて気を取り直すことができますから。

で、「今日のタイトルはなんでこれなの?」という疑問は、この本を読んでいただくと氷解します。
亞さん、四大難卦シリーズも是非出版してください~。

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二元論の限界を知る

「二元論以外の物の見方を持っていたほうが、生き方の自由度が高まっていい」という考え方を持っている人向けの本かもしれませんが、そうでない人にも是非読んでいただきたい本です。

ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている
スティーブン・ジョンソン 乙部 一郎 山形 浩生 守岡 桜
翔泳社 (2006/10/04)
売り上げランキング: 63498
おすすめ度の平均: 4.0
4 読書とゲームの比較が秀逸
4 「面と向かって相手を理解する」ことの正当性
4 ゲーマーの楽しみと、手作り野球ゲームの愉楽は別モノ

どういう本なのか、というと、「科学技術そのものを二元論で論じることのナンセンスさ」を書いてある本です。
例えば子供の精神的成長という側面で好ましくないと槍玉に挙げられるTVゲームですが、TVゲームを論じるとき、“TVゲームを支えるテクノロジー”“TVゲームのコンテンツ”“TVゲームの使い方”が切り分けられずに一緒くたに論じられてしまい、いつの間にか“TVゲームを支えるテクノロジー”そのものが悪いという論調に向かいがちです。「それはちょっと違うんじゃないの?」という議論を提供しているのがこの本です。もちろん、「テレビやゲームは頭を良くしている」かどうかはさらに議論の余地がありますが。

科学技術それ自体はただのツールです。それをどう活用して社会全体に良い結果をもたらすのか悪影響を及ぼすのかということは別の次元の話です。イレッサ(ゲフィチニブ)やタミフル(リン酸オセルタミビル)の問題も同様です。サリドマイドが使い方を変える事で難病患者に生きる力を与えているように、結局は使い方です。薬そのものに良い悪いはありません。科学技術はなべてそういうものです。MMRワクチン副作用の問題が発生したときに、MMRワクチンによる副作用発現率とおたふくかぜの自然罹患による髄膜炎発症率とをベースにした議論やワクチン接種法の議論が冷静にできていれば、現在の「麻疹輸出国」の汚名は免れたかもしれません。

二元論は判断を楽にしてくれるかもしれませんが、二元論に頼りすぎてしまうと本当はあったはずの可能性を閉じてしまうことになります。「科学的には問題ないことはわかったけれど、嫌なものは嫌」というのは個人の価値観の問題ですから、それを良いとか悪いとかというつもりはありません。ただ、社会全体の問題として考えていく場合には科学技術そのものの良し悪しを議論するのではなく、今の私たちの知恵や社会体制や価値観などからどうやっても使いこなせないというものに重点を置いてよりよい管理のあり方を探っていくほうが、社会全体にもたらされる益が大きいはずです。ケースバイケースの議論を積み重ねるということは気骨の折れる作業ですが、二元論で世論を左右する社会からそういう議論を冷静に見守っていく社会環境づくりにそろそろ転換していったほうが良い、と思ったのでした。

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