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木に学べ

宮城谷昌光氏の作品に介子推という作品がありますが、その中にこんなくだりがあります。

「この世で大事をなす者には、かならず師か友がいる。両者ともいないおまえにいっておきたいことは、この世に師も友もいなければ、それを古人にもとめればよいということです」

今の時代、「師か友がいる」人のほうがはるかに多いのでしょうが、それでもギリギリの決断のところで「誰にも相談できない。自分で決めるより他にない」という状況に出会うことが、一度や二度はあるはずです。そういう時に支えになるのが、「先人の知恵」ではないかと思います。

この本も「先人の知恵」の塊です。

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美

もう少し正確に表現すると、「先人の知恵を学ぶということはどういうことか」を学べる本です。

「先人の知恵を学ぶ」には、知識を得たら、まずは手や身体を動かしてみることですね。本からも多くのことを学ぶことは出来ますが、本を読んで「ああ、わかった」で終わると、それは単に「知識が増えた」という状態にしかなりません。道具もスキルも何でも、自分で実際にやってみて、使ってみて初めて、その道具やスキルに対する自分の理解が深まるし、言動にも厚みが出てくるということなのだと思います。

そのことは、現場からの支持を得るという点でも役に立つと思います。私は研究職で今はデスクワークが主体ですが、そこそこの年月、実験にどっぷり浸っていました。そのせいか、今でも議論をして意見をいうと、実験担当者にそれなりに聞き入れてもらえています。ところが、自分の経験の浅い分野に出かけていって議論をしたときには、やはり「それなり」にしか意見を言うことができません。実経験が不足している分だけ、表面的な現象の裏で何が起こっているのかを洞察することができないからなのですね。

やはり、現場からの信頼を得るには、一度は現場に浸ってみるしかありません。理論は大事ですが、理論だけでは物事は進みません。実験の場合、理論だけでは表現しえない、感覚的なものが実験の成否を左右したりします。その感覚的なものを理解できているかどうかということを、現場は敏感に察知するんですね。
「どぶ掃除をしろ」と言って他人のお尻をたたくのではなく、自分でどぶに手を突っ込んでみて、他の人と同じ目線で物事を見てみるということが「理論倒れ」に終わらないようにするための秘訣ではないかと思います。

「誰も反対できないけど、どう観ても机上の空論」という理論に出くわすことはありませんか?
あるいは、そういう理論を自分が主張してしまっていることはありませんか?

それは甘美でとても危ない罠です。

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