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【黄金の金曜日】いまお勧めの一冊

恒例の発想七日!の【黄金の金曜日】です。
今週のお題は「いまお勧めの一冊」

読書週間です。今年読んだ本の中で 「人にお勧めしたい一冊」 はありますか?どんな人に、なぜお勧めしたいかもできれば添えて。

もう、これは即答です。
【亞】さんの、「リーダーの易経」です。

リーダーの易経―時の変化の道理を学ぶ

【どんな人に勧めたいか】
全ての人に。
学生さんから、「もうリタイアしちゃった」という人まで。職業に関係なく、「一読」ではなく「何度も」読むことをお勧めします。

【どうして?】
生涯にわたって「師」になってくれる本だから、です。
それも、「あなただけ」の「師」になってくれる本だから。

若い頃は、年長の人がいろいろと、「それはまずいよ」「そういうことはやめておいたほうがいいよ」と忠告してくれますよね。言うほうも言いやすいし、言われたほうも素直に聴ける素地が多いから、忠告する・してもらうという関係を築きやすいのだと思います。でも、だんだん、中堅とかベテランといわれる年代に入って、自分でも「それなりにやってきた」という自負が生まれてくるとそうも行かなくなります。周囲もクチを挟みにくくなるし、本人にも「なんでコイツに」みたいな意識が生まれやすくなります。それは大いなる罠なのですが、突っ走っているときはなかなか自分では気付きにくいですよね。そういう時に、メンターになるような人に出会えれば良いのですが、全ての人がタイミングよく、いいメンターに巡り合うことが出来るわけではありません。そういう時に、昔から人は書物の中に「師」あるいは「道標」を見つけて、それを灯として自分の行く手を照らしてきたのだと思います。

易経は、「そろそろ危ないよ」ということを自覚させてくれる本なのです。そして、「自分の軸」にブレがないかどうかということを検証させてくれる本でもあります。大げさな言い方をすると「生きる指針」を示している書物と言うこともできます。「自分はどういう生き方をしたいか」ということを考えている人にとって、一つの道標となる本だと思います。

ただ、いきなり易経を通して読んで、自分や古人のエピソードに当てはめて解釈して...というのは、かなり難しいです。この本も比較的解説が充実していて読みやすいのですが、それでも素人が挑むにはハードルの高い本です。【亞】さんの、リーダーの易経は、具体的事例を引用しながら、「こういうふうに読むといいんですよ」ということを分かりやすく伝えてくれているので、読んだことを噛み締めやすくなるんですね。初心者向けにハードルを下げて、でも内容は薄めていない、という稀有な本です(コストパフォーマンスが良すぎです)。

私も、まだまだ何度も読み直している最中です。
「迷いが多いな」と感じている全ての人にお勧めします。

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調理場という戦場

これも久しぶりに読んだ本ですが...

調理場という戦場 ほぼ日ブックス

前に読んだのは、【亞】さんのリーダーの易経を読む前でした。もちろん、この「調理場という戦場」という本自体が深い言葉の塊なので読んで気づくものも味わうものも満載なのですが、「龍の話」を知ってからこの書を読み直すと、一つ一つの言葉やエピソードが文字通り“腑に落ち”ます。

この本の中に

できるならば、若い人には、ある程度の時期までは無傷で行ってほしい。傷はいつかは必ず受けるものです。35歳ぐらいまでは、天真爛漫なまま、能力や人格や器を大きく育てていったほうが、いいのではないでしょうか。

という一節が出てきますが、「潜龍」の話を知った今では“本当にそのとおりだなぁ”と共感しながら読むことができます。早く名を売ろうとか、トップに立とうとか、本業や実力から離れたところで色気をだすと、たいていコケますよね。その時はコケるべくしてコケているのだし、コケること自体が本人の気付きのチャンスになっているはずなのだけれども、コケている当人は「不運」としか思わなかったりします。岡目八目で、周囲から見ていると「あそこで急ぎすぎたからコケた」「もう少しタメをつくれば」ということが見えるのだけれども、当事者の立場になると急に見えなくなってしまう、という経験が私にも何度もあります。

この調理場という戦場という本も、リーダーの易経も、どちらも「コケたら石を蹴飛ばすのではなく、その石につまずいた背景を考える」ということを思い出させてくれる本です。また、【亞】さんは易経を理解しやすくするためのアプローチとして、「自分の身に置き換えたり、有名な人のエピソードなどに重ね合わせる」という方法を提示してくださっていますが、調理場という戦場には、まさに易経を理解するうえでピッタリなエピソードが満載です。

飛龍になれたとしても、飛龍のときにもいつか終わりは来るでしょう。その時に亢龍にならないで生きていくための知恵を、今回の読書を通じて教わったと思います。「熱意を持って静かに一歩ずつ歩み続ける」ということは、目立たないけれども、本当はそういうことが最も尊い、ということを感じました。

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【黄金の金曜日】コーチ

金曜日といえば、発想七日!【黄金の金曜日】です。

今週のお題は「コーチ」です。

馬車(で目標まで運ぶこと)が語源と言われる「コーチ」。もし 「何でもいいからコーチをつけてよい」 と言われたら、何のコーチをつけますか?期間は3ヶ月を目安とします。 実在しないようなジャンルのコーチも可。 個人指名(「ともかくこの人にお願いしたい!」ということ)もOK。 なお報酬の心配は無用です。

そうですね。
現実のコーチとなると、すでに菊池さんにコーチングしていただいて、ある意味とても充足してしまっているので、ちょっと切り口を替えて「メンター」ということで考えて見ます。

やっぱり、晏子ですね~。
宮城谷作品には魅力的な人物があふれていますけれど、中でもこの親子は秀逸です。今週の菊池さんのエントリーにあなたが、ボロボロになるまで読み込んでいる本は何ですかという問いがあるのですが、専門書を除くと、私にとってはこの晏子がまさにボロボロになるまで読み込んでいる本になります。

この親子は、なにしろ「ブレない」ところが最大の魅力です。
激動の時代に生きたにもかかわらず、保身のために言を左右にしたりということもなく、かといって我を通して自滅するわけでもなく、「自分」を貫きながら利他に徹したという点にものすごく惹かれます。

そういう晏子親子の姿を仰ぎながら、進んでいきたいなーと半ば本気で思っています。
メンターというよりも「生き方」を背中で示してくれる存在、と言った方がいいかもしれませんね。

ところで、コーチングをお願いしている菊池さんですが、300人ビジネスコーチングという取り組みが進行中です。仕事で「課題はあるけど、解決の糸口が見えない」「解決策は見えているけど一歩踏み出せない」という方、いかがですか。
一人一回限りなので、残念かもしれませんが、かえって気楽にお願いできると思いますよ。

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木に学べ

宮城谷昌光氏の作品に介子推という作品がありますが、その中にこんなくだりがあります。

「この世で大事をなす者には、かならず師か友がいる。両者ともいないおまえにいっておきたいことは、この世に師も友もいなければ、それを古人にもとめればよいということです」

今の時代、「師か友がいる」人のほうがはるかに多いのでしょうが、それでもギリギリの決断のところで「誰にも相談できない。自分で決めるより他にない」という状況に出会うことが、一度や二度はあるはずです。そういう時に支えになるのが、「先人の知恵」ではないかと思います。

この本も「先人の知恵」の塊です。

木に学べ―法隆寺・薬師寺の美

もう少し正確に表現すると、「先人の知恵を学ぶということはどういうことか」を学べる本です。

「先人の知恵を学ぶ」には、知識を得たら、まずは手や身体を動かしてみることですね。本からも多くのことを学ぶことは出来ますが、本を読んで「ああ、わかった」で終わると、それは単に「知識が増えた」という状態にしかなりません。道具もスキルも何でも、自分で実際にやってみて、使ってみて初めて、その道具やスキルに対する自分の理解が深まるし、言動にも厚みが出てくるということなのだと思います。

そのことは、現場からの支持を得るという点でも役に立つと思います。私は研究職で今はデスクワークが主体ですが、そこそこの年月、実験にどっぷり浸っていました。そのせいか、今でも議論をして意見をいうと、実験担当者にそれなりに聞き入れてもらえています。ところが、自分の経験の浅い分野に出かけていって議論をしたときには、やはり「それなり」にしか意見を言うことができません。実経験が不足している分だけ、表面的な現象の裏で何が起こっているのかを洞察することができないからなのですね。

やはり、現場からの信頼を得るには、一度は現場に浸ってみるしかありません。理論は大事ですが、理論だけでは物事は進みません。実験の場合、理論だけでは表現しえない、感覚的なものが実験の成否を左右したりします。その感覚的なものを理解できているかどうかということを、現場は敏感に察知するんですね。
「どぶ掃除をしろ」と言って他人のお尻をたたくのではなく、自分でどぶに手を突っ込んでみて、他の人と同じ目線で物事を見てみるということが「理論倒れ」に終わらないようにするための秘訣ではないかと思います。

「誰も反対できないけど、どう観ても机上の空論」という理論に出くわすことはありませんか?
あるいは、そういう理論を自分が主張してしまっていることはありませんか?

それは甘美でとても危ない罠です。

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